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減らせば痩せる!
私は管理栄養士として大学病院に勤務し栄養相談を担当していますが、患者さんのほとんどが口を揃えて言うことが。
糖質がとにかく悪者。もう100%に近い確率ですね。
でも、自分たちで言っているように体重は落ちないし、血液検査の結果も思ったより改善していない人も多いのです。
糖質の大事な働きを十分理解せず、むやみに糖質排除に走っていると、思いもかけない副作用が出ることもあります。
私の個人的な主張は「糖質は減らしすぎる方が危ない!」ということ。あくまで私個人が日々の業務の中で感じたことの感想と考察です。
世の中極端な人たちがいるから危ないよ~、やりすぎないで~ってことです。
今回は、デメリットばかりがクローズアップされる糖質の真実を書いていきたいと思います。
それでも摂りすぎが気になる人向けに、ゆる~い糖質オフ方法もご紹介していきますね!
糖質が悪者扱いになった理由
そもそも、なんでこんなに悪者扱いになってしまったのか?
日々患者さんとお話している中で感じた理由を書いてみます。
「糖質を摂る=太る」の誤解
確かに、糖質の「摂取過剰」は肥満の原因になります。
患者さんの中にも「糖質を減らしたら痩せた」と結果が出ている方もいます。
が、よくよく聞いてみると今までの糖質量が多かっただけで、単に年齢・性別・体格等から算出した適正量に戻っただけ、という場合が多い印象です。
適正量摂る分には全く問題ありません。むしろ、必要とされる量はきちんと摂っていただきたいというのが管理栄養士としての願いです。
とはいえ、一言に「適正量」と言っても、それを正しく理解できて確実に実践できるのは管理栄養士くらいでしょう。
栄養量とは、数値が定められていても、その実は非常に抽象的なものです。
そんな中で育ってきた概念が「糖質を摂る=太る」ではないかと、私は思います。
実際には、前述のように「摂取過剰」が「適正摂取」になっただけの話なんですが、世間では「糖質を減らしたら痩せた=糖質が悪かった」となっていたのでは。
「糖質を減らした商品」がトレンドに
下の項目でも紹介しますが、私はこういった商品に批判的ではありません。
なぜなら、私も使うから(笑)。
私だって、自分も糖質は摂取過剰だと思っています。
適正量にがっつり収めることができるのは病院食だけですからね。
現場仕事をこなす夫と食べざかりの子ども2人がいたら、糖質を適正量に抑えることなんて不可能です。
その自覚があるため、糖質オフの商品に手を出すこともありますよ、ということ。
とはいえ、中にはもともとの糖質摂取量が少ないのに加えて、さらに糖質オフ商品を揃えてしまう人がいることも多いです。
これは怖いですね。「減らせば減らすほど良い」という概念そのものです。
最近は何のジャンルの食品でも「糖質オフ」の商品が販売されていますよね。
中には「希少糖」「人工甘味料」のように、本来糖質のカタマリであるはずの砂糖まで糖質オフなんですから、この市場は本当にアツいです。
それだけ、見渡せば糖質オフ商品が溢れかえっている現状。
世の中総出で糖質を邪魔者扱いしているように感じてしまうのは私だけでしょうか?
「糖質制限ダイエット」の流行
決定的だったのはこれではないでしょうか?
極限まで糖質を制限するものから「ロカボ(ゆるやかな糖質制限)」と言われるものまで様々ですが、とにかく糖質を減らしましょうキャンペーンが展開されています。
細かい内容は今回割愛しますが、ゆるやかと言われているロカボでも、糖質量を通常の必要量の半分程度に減らすことになります。
もちろん、これで実際に痩せた人もいますし、体の調子が良くなったと感じる人も多いと思います。
が、実際に体重が減ったのであればそれだけで体が軽くなるのは当然。
多かった体重が減るなら、糖質制限ダイエットでも従来のダイエットでも感じ方は変わらないはずです。
何も糖質だけが諸悪の根源とする必要はないのでは?・・というのが、私の個人的な主張です。
また、糖質制限ダイエットをやってもいいのは基礎疾患がない人に限ってのこと。
患者さんの中にも、糖質制限ダイエットに興味がある方々がたくさんいます。
でも、私は必死に止めます。
極端な食生活にすることで、他の疾患の原因になることもあるからよ。
糖質を減らしすぎると危ない!3つの理由
基礎疾患がある人に限らず、糖質を過剰に制限すること・食事内容を大幅に変えることで起きうる危険について書いてみます。
エネルギー不足になり筋肉量ダウン
人間の体を動かすエネルギーは食べ物から得ています。車もガソリンがないと動かなくなるのと同じですね。
糖質は重要なエネルギー源の一つであり、1日の摂取エネルギー量の50~60%程度を糖質で摂るのが理想的とされています。
糖質を過剰に減らしたり、食事全体の量を減らしすぎてしまうと、体にとって必要なエネルギーが確保されません。
それでも体は生きることに貪欲になるようプログラムされています。
体内には肝臓や脂肪などにエネルギー源を貯蔵しており、万が一の際にはそこから血糖を放出してエネルギー源に充てます。
それって大丈夫なの?
大した運動をせずに食事量を減らしただけで体重が減る人もいますが、それは筋肉量が落ちて体重が減ったパターンで、リバウンド必至の痩せ方です。
特に中高年以降では加齢による体力・筋力低下と相まって、予想以上に体にダメージを負う可能性もありますので、極端な制限はオススメしません。
おかずの摂りすぎにつながる
糖質を制限するということは、他のタンパク質や脂質の栄養素の割合が格段に増えることを意味します。
実際に糖質制限ダイエットの料理レシピなどを見ても、バターなどの油脂類、コクを出すためにたらこなどの魚卵系、肉類などが多用されていました。
よく「白いご飯は食べないでおかずだけにしています」と言う患者さんも多いですが、そういう人はほぼ確実におかずの食べすぎがみられます。
ご飯が糖質のカタマリであるように、おかずはタンパク質と脂質のカタマリ。ついでに言えば塩分も多いです。
おかずに偏った方が体への影響は多岐にわたり、もともと治療中の疾患がある人には特に悪影響が出る場合が多いのが現実。
タンパク質の摂りすぎは腎臓に負担をかけます。
また、脂質の摂りすぎは肥満・中性脂肪など血中脂質の増加・動脈硬化の進行などさまざまな疾患の原因になります。
塩分は言うまでもなく、血圧上昇の原因になります。
前述の、体重も減らないし検査値も良くならない・・という患者さんは、糖質を制限しすぎたことの代償が現れてしまっているのですね。
こうした危険性を説明した上で、おかずを適正量に抑えるためにある程度のご飯は必要であることを指導しています。
1日の「スタートダッシュ」ができない
糖質のエネルギーは、他の栄養素よりも早く使われます。効率の良いエネルギー源ということですね。
最初に糖質がエネルギーに変わり、その次はタンパク質、長い時間かけてゆっくり変わっていくのが脂質になります。
なので、糖質が不足するとその後のパフォーマンスに影響が出ます。
1日の始めは、どうしても動くのがツライ。
それもそのはず。起床前に食べたのは通常なら10時間近く前なので、エネルギーは枯渇しています。燃料切れを起こしているのが朝の時間帯なんですね。
そこでしっかり補給をしてあげないと、その後の動き出しが鈍くなるのは当然のことです。
朝こそ、きちんと糖質を摂っていくべき。
むしろ、少し多めに摂ってもいいくらいです。
少しでも何か食べないとダメですね。
糖質を賢く摂る方法とは
きちんと摂ってほしいけど、摂りすぎたくない。
主食(ご飯、パン、麺類など)の目安量を決めておく
食事の中で圧倒的に糖質が多いのは主食です。その量を管理することがまず大事。
糖尿病の患者さんには、まず1度ご飯の量を計量してみるように勧めています。
めんどくさい・・。
まずは一度、どのくらい食べているか確認してみることをオススメしているだけ。
そこから、自分に合った目安量を知っておくことをオススメしています。
特に治療中の疾患がない人はそこまでしなくても大丈夫ですが、何となく食べてしまうことをなくした方がいいのは確かです。
- ご飯は「男性用」「女性用」の茶碗に1杯。「丼」「大きめ」のものは使わない。
- パンは食パンで6枚切り1枚、ロールパンは2個まで。
- 麺は1玉まで。
このように決め事をしておけば、大幅にオーバーすることは抑えられます。
毎回しっかり管理することが難しい人もいるでしょう。
どうしても多くなってしまったら、その分他の食事で少しセーブして食べるようにしましょう。
糖質以外のものから食べるようにする
適正量を守った上で、食べる順番にもひと工夫。
「野菜から食べる(ベジタブルファースト)」ってやつですね。今や常識になりつつある食べ方です。
実際にこれはとても有効です。野菜に豊富に含まれる食物繊維の効果で、食後血糖値の急上昇をゆるやかにすることができます。
また、繊維が多い食事を摂ると、その次の食事の血糖の上がり方もゆるやかになることが分かっています(セカンドミール効果)。
それは嬉しい!
糖質は一番最初にエネルギー源として使われることは既に書きました。
食べ方次第では急激に血糖上昇をさせることになり、それが習慣的になると生活習慣病の原因になります。
食べたものが吸収されるスピードは大切です。同じ食事内容でも、食べる順番で血糖値の上がり方は全く違います。
夜食を摂らない
夕食は言うまでもなく、一日の最後に食べる食事です。
その後にすることと言ったら、せいぜいお風呂に入って動画を見るくらい。
エネルギーの消費が少ない時間帯に入っていき、しかも就寝中は生命維持に必要な最小限のエネルギーしか消費しません。
その時間帯に何か食べてしまうと、使いきれずに体に残ってしまうことになります。
これは糖質だけに関わらず、脂質やタンパク質にも同じことが言えます。
夜食そのものをやめておいた方がいいのは間違いないですね。
運動「前」に食べる
食べた分はしっかり使い切る・・というのは非常に難しい。
糖質を摂るなら、体を動かす前に摂っておきましょう。逆に言えば、あまり動かないことが予想されるときには少なめにするといいでしょう。
もしくは、食後30分~1時間程度に軽く運動するようにするのもオススメです。
わざわざ外に出て運動しなくても構いません。軽いストレッチでも効果はあります。
この時間帯は、糖質による食後の血糖値が上がってくるところです。
時間がなくて運動ができない人は、この食後の軽い運動だけでも取り入れる価値があると思います。
管理栄養士が実践する、ゆるゆる糖質オフ
主食の量は朝食>昼食>夕食
ここまで読んでいただくと分かると思いますが、とにかくこれから動く時間帯であれば、糖質はしっかり摂った方が良いです。
私は朝食はパンやフルーツも併せて糖質はきちんと欠かさず摂ります。
昼食は少し控え、糖質の供給源は主食のみになるようにしています。
職員食堂ではランチで好きな小鉢が選べますが、できるだけ海藻や野菜を使った小鉢にして、糖質過多にならないように組み合わせを選ぶようにしています。
そして、夕食は主食量をやや少なめに盛って食べるようにしています。
間食は個包装のものを選ぶ
1日のリラックスタイムの一つといえば、やはり間食。
が、テレビやスマホを見ながら何となく食べていると、自分でも気づかないうちに食べる量が多くなりがち。
そうならないために、私は個包装になっているお菓子を選ぶようにしています。
大袋しかない場合には、小皿に食べる分だけ出して持ってくるようにします。
とにかく、食べる量も「見える化」が重要なんですね。
そして、食べるのは昼間だけ。夕食後は前述の夜食になるので避けています。
糖質が多い食材があるときはご飯を減らす
糖質が入っているのは主食だけではありません。
注意が必要なのは、イモ類・かぼちゃ・れんこんなどの野菜や、栗などの種実類です。
甘味があってホクホクしているのが美味しい食材ばかりですが、糖質が多く含まれる食材になります。
これらをおかずに使うときには、主食の量を普段の2/3くらいに減らすようにしています。
ご飯もしっかり食べて、さらにイモ類も食べてしまうと、見た目は違っても体にとってはご飯をおかわりしたのと同じになってしまうんですよ。
同じ考え方でいくと、ポテトサラダが挟まったサンドイッチなんてヤバいですね・・。
野菜はほとんどないと思って差し支えないかと。
量を減らすのがイヤ!そういう人は「糖質オフ」食品を使おう
食事量を減らすのはイヤ・・という人は結構多いと思います。
そういう場合には、もとから糖質が少ない商品を使うのも一つの手段です。
低糖質パン
小麦粉ではなく、大豆粉やふすまを使ったパンのことです。
コンビニでも「ブラン」という名前が入った商品がありますね。
お値段はやや割高になりますが、一番手軽&確実に糖質量を減らせます。
原料を変えるだけではなく、ナッツなど良質な植物性油脂類も摂れるタイプのパンがオススメですよ。
自分で作りたい人にはミックス粉もあります。
とはいえ、低糖質パンだけでは栄養としては不十分。
卵などのタンパク質、ミニトマトなどの野菜など、できるだけ他の食材も一緒に食べるようにしましょう。
美味しさと素材にこだわった低糖質パンとスイーツの専門店「フスボン」
糖質「ゼロ」「オフ」飲料
ジュース類からお酒まで、幅広いジャンルで展開されている「糖質ゼロ・オフ」の商品。
「ゼロ」「オフ」と書いてあっても完全にゼロではありませんが、普通の商品よりは糖質量が少ないのは明らかです。
特にお酒でこういった商品を選ぶ人も多いのではないでしょうか。
私は妊娠や授乳、持病の関係でお酒が飲めなかった期間が長かったのですが(今は飲酒再開してます!)、その間はノンアルコール&糖質ゼロ飲料に大変お世話になりました。
味もそこまで落ちるわけでもなく、かえってトクホの商品もあってすごいな~と思います。
ただ、ダイエット目的で糖質を抑えようとしている人、糖尿病などがあって糖質量を気にしている人には大事な注意点が!
アルコールが入っている商品は、糖質は抑えられていてもアルコールのカロリーは入っています。
アルコールは1gあたり7kcalで、糖質1gあたり4kcalを上回っています。
過度な飲酒は糖質の摂取過剰以上にカロリーオーバーになったり、肝臓に負担をかけます。
ダイエットの成功が遠のいてしまう結果にもなりかねません。
また、糖尿病がある人にとってはアルコールそのものが低血糖を引き起こす場合もありキケンです。
糖質を抑えたお菓子を選ぶ
間食の量を減らすのが難しいという人もいるでしょう。
こちらも低糖質パンの考え方と同じ。食べる量はそのままに糖質量を抑えるには、もの自体を変えてしまうのが早いですね。
オススメなのはハイカカオのチョコレート。カカオは抗酸化作用のあるポリフェノールを含みます。
また、植物性油脂を豊富に含み、濃厚な味わいで満足感もありますので、たくさん食べなくても済むことが多いです。
少なくとも、カカオ70~75%以上のものを選ぶといいでしょう。
こちらの記事でも、糖質を抑えた間食について書いています。
西友「オトナのお墨付きおやつ」が優秀!管理栄養士が実際に食べ比べてみた
まとめ
ブームを超えて、今や常識とも言える「糖質制限」。
口にして体の毒になるようなものは、そもそも食品ではありません。食べられるものは全てに必要な栄養素が入っています。
なくしていいものは一つもないと、私は日々患者さんに訴え続けています。
人のライフスタイルはそれぞれ違い、必要な栄養量も違います。
食事の摂り方も、それぞれに適したやり方があるでしょう。
大事なことは、自分のスタイルの合った方法で、確実に栄養を積み重ねていくことなのです。
これからも、巷の商品を最大限活用して賢く栄養を摂るコツを発信していこうと思います!