病棟常駐の管理栄養士 多忙だけどやりがいのある日常を公開中

管理栄養士の日常 アイキャッチ

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れもん
れもん
こんにちは!れもんです。
管理栄養士は「食」のスペシャリストです。

 

栄養学を学んできただけでなく、効率よく摂るための調理法や組み合わせ方など、
実生活に根付くように具体的な指導ができます。

 

が、「管理栄養士」には重要な定義があるんです。

昭和22年に制定された「栄養士法」第1条に、その記述があります。

 

引用すると長いので要約すると。

  1. 厚生労働大臣の免許を受けている
  2. 傷病者に対する療養のために必要な栄養の指導を行う
  3. 身体状況・栄養状態に応じた高度の専門的知識及び技術を要する
  4. 特定多数人に継続して食事を提供する施設で、特別の配慮を必要とする給食管理・栄養改善上必要な指導等を行う

参考:厚生労働省 栄養士法

はっきりと「傷病者に対する」仕事だと書いてあります。

病気の治療に関わっていくってことですね。
なな
なな

私のように病院に勤めていると、
まさに日常の業務そのもの。

 

大学時代には「病院の管理栄養士が花形だ」と言われていましたが、
現在でも病院で働きたいという人は多くいるようです。

 

今回は、そんな【病院管理栄養士の日常業務】について書いてみます。

 

「病院でごはん作ってるだけじゃないの?」という人!
しっかり読んでください(笑)。

メインは病棟業務

管理栄養士の日常 病棟業務

私の職場では「管理栄養士の病棟常駐」の体制を取っています。

 

数年前に管理栄養士の病棟配置に対する診療報酬の動きがあり、
それに備えての処置でしたが、結局その話は立ち消えに。

残念ながら追加報酬なしでやっている状態です。

 

とはいえ、
管理栄養士としての力を存分に発揮できるのはやはり病棟でしょうね。

患者さんとの面談

管理栄養士の日常 面談

最初の面談は入院時

最低限聞くのは下記の通り。

  1. 食物アレルギー・禁止食品がないか
  2. ここ最近の食事量や体重に関して変化はなかったか(自己申告でOK)
  3. (治療食を提供する場合)食事内容の説明
れもん
れもん
他にもいろいろ聞きたいことはありますが。

入院日は看護師や薬剤師の面談もありますし、
手術目的の患者さんは入院翌日が手術日に設定されている場合が多いので大忙し。

 

栄養に関して本格的に介入するのは術後です。
まずは基本的な食事内容の確認程度にとどめています。

患者さんの状態はずっと追っていく

入院後も定期的に喫食状況や検査値を確認しており、
食事量が下がってきていたり栄養状態低下が見られる場合には再度面談を行います。

そこで食事内容を調整したり、
場合によってはNSTなど各種医療チームに相談してフォローしていきます。

れもん
れもん
チームに依頼をするかどうかを判断するのも大事な仕事!

また、患者さんの方から食事に対して要望がある場合などは、
担当看護師さんから面談の依頼が入ることもあります。

疑問に答える程度なら面談のみで終わりますし、
今後の食事療法に関わることなら改めて栄養相談の予約を入れていただくようにしています。

食事内容の調整

管理栄養士の日常 食事調整

食事の幅を狭めないために

一番大きいのは
「アレルギー」「好き嫌い」「何か特定の食品だけ」なのかの判別です。

言われたら、とりあえず外しておけばいいんじゃないですか?
なな
なな
れもん
れもん
そう簡単にはいかないのよ。

例えば、カルテに「乳製品アレルギー」と書いてあって確認に行くと、
実際には冷たい牛乳でお腹を下すだけで他の乳製品は全然平気・・というケースが多いです。

 

この場合、カルテを鵜呑みにして乳製品アレルギーで対応してしまうと、
調味料も含めて乳を含む全ての製品がアウトになり、献立も大きく変わります。

患者さんへ提供するものも必要以上に制限されてしまいますし、
厨房もアレルギー対応だと過敏に対応してしまいます。

 

もちろん、本当のアレルギーであれば厳格に対応しますが、
不必要な制限が行われないように患者さんに細かく聞き取って調整することも重要な業務です。

お互いにとっていいことなんですね。
なな
なな

このケースでは、患者さんの了承を得た上で
「乳製品アレルギー」を解除して「牛乳禁」に設定するのが正解です。

さまざまな要素を考慮する

また、腰の手術などで起き上がれない患者さんの主食をおにぎりやパンに変えたり、
利き手を受傷した患者さんには一口大にしてスプーン・フォークを毎食つけるなど。

状態に合わせた調整をすることも多々あります。

そんな細かいところまで見てるんですか?
なな
なな
れもん
れもん
面談に行く前にカルテで状態を確認して、こちらから提案することも多いわよ。

さらに、担当医から食事内容の変更の依頼をいただくこともあります。

血液検査の状態からカリウムを制限したい、
特定の数値が下がってきたので食事で付加できないかなど。

れもん
れもん
治療の一部として食事を考えてもらえるのは嬉しいことです。

適切な食事で提供しているかチェック

さらに、患者さんの既往歴や内服薬、入院時採血の結果などを考慮し、
適切な治療食を提供しているか確認しています。

れもん
れもん
薬を飲んでいるのに、食事に制限がなかったら効果が下がります。

治療食が必要な患者さんに一般食が出ている場合には、
担当医に相談して治療食に変更してもらいます。

逆に、不必要な患者さんに治療食が出ている場合には
一般食に変更を依頼するようにします。

 

治療食の提供には「特別食加算」がつくので、治療上の理由だけでなくお金も関わってきます。

不当な治療費を徴収することにもつながるので、
入院した全患者さんの食事を適切に管理するのも重要な仕事です。

経管栄養(輸液、胃瘻など経腸栄養)の調整

管理栄養士の日常 輸液

絶食しているときこそ、管理栄養士の出番

食事を食べていなければ、管理栄養士の出番はないのか?

ごはん食べてないなら、特にやることないですよね?
なな
なな

そんなことはありません。

 

疾患の急性期で長期間絶食になると、消化機能の低下が見られます。

特に高齢者では低下の度合いが強く、
同時に筋力低下も著しいので回復期に移行しづらくなることも多いです。

 

基本的には、輸液(点滴)のみで必要栄養量を満たすのは不可能です。
基礎代謝量を満たすのも難しいでしょう。

 

急性期で優先すべき治療を迅速に行い、可能な限り早い段階で経腸栄養を開始することが
早期回復の近道であることは常識です。

れもん
れもん
ICUやHCUからの転出スピードアップにもなります。
特別な病床の確保にも役立ちますよ。

栄養を開始するときは細心の注意を

一方で、長期間使っていなかった消化管に
いきなり高濃度の経腸栄養や食事を入れると危険です。

 

また、原疾患や併発疾患の内容によってどの栄養剤を使うべきか、
適切な投与速度や手順も変わってきます。

 

最初に経腸栄養を開始する場合、
よく担当医からご相談の電話をいただきます。

また、開始した後に下痢や逆流が起きてしまい、
対処法を聞かれることも多いです。

 

その際は現在の栄養剤や投与速度などを確認し、
今後の方針も伺って栄養剤の変更など助言させていただきます。

思いつく方法を試しても状態がよくならない場合には速やかにNSTに依頼をかけていただいて、
総合的にみていくこともあります。

退院カンファレンスへの参加(不定期)

管理栄養士の日常 カンファレンス

退院後も安心して過ごせるように

日常業務ではそこまで多くないですが、
高度な医療ケアが必要な患者さんの退院カンファレンスに呼ばれることもあります。

 

具体的にはALS患者さんや胃瘻のある患者さん、
末期がんで自宅に帰る患者さんなどです。

 

通常の食事が摂れる患者さんではなく、
経腸栄養などを継続して地域医療の中に戻していく患者さんですね。

 

カンファレンスでは患者さんのご家族と病院側の担当医・看護師・薬剤師・管理栄養士などと、
地域医療側のケアステーションの看護師・ヘルパーさんなどが参加します。

れもん
れもん
会議室を1つ貸し切りでやることもあります。
結構大きな集まりなんですね!
なな
なな

ここでの管理栄養士の役割は、
現状の栄養管理の方法と今後の注意点の説明です。

経口摂取はどの程度まで可能なのかなど、
患者さんの退院後のQOLに関わることについて情報共有します。

れもん
れもん
患者さんの気持ちと家族の負担。
両方を考慮していく必要があります。

自宅で使うからこその配慮も必要

退院先が自宅なのか、施設なのかによって影響を受けるのが
栄養剤の種類です。

 

栄養部で提供している栄養剤は「食品扱い」

施設へ退院する場合には「食品扱い」の栄養剤が採用されていないこともあります。

継続して使いたい場合には家族が自己購入して持ち込むこともありますが、
それだと高額になります。

 

その場合には薬剤部から出されている「薬価」の栄養剤(ラコールなど)への変更も提案します。

薬価の栄養剤であれば、往診医からも処方できますし、
採用している施設も増えます。

 

初回カンファレンスの段階では、退院日まで余裕があるケースも多いです。

入院中に薬価の栄養剤に変更して慣らしておけば、退院後もスムーズに処方でき、
家族の経済的負担も少なくできますからね。

退院してから往診医の処方までタイムラグがある場合もあります。

その際は1日の栄養量を計算し、必要な量の栄養剤を「退院時処方」として担当医に出してもらうようにしています。

出張栄養相談

管理栄養士の日常 ベッドサイド

特別室に入院している患者さんや、ベッドから離れられない患者さんに対しては
ベッドサイドでの栄養相談を行っています。

 

また、退院日が決まった患者さんのベッドサイドに伺って
退院後の食事について説明することも多くあります。

 

基本的に患者さんが栄養相談室へ来てもらう形を取っていますが、
部屋が一つ&専任担当者も一人しか無いので複数の相談ができないのも理由の一つ。

 

手分けして少しでも多くの患者さんに
栄養に関する知識を持って帰ってもらいたいんですね。

まぁ、収益につながるのも否定しませんが(笑)。
オトナの事情ってやつです。

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まとめ

毎日日常的にある業務もあれば、
不定期に入ってくる業務もあります。

 

1日の流れが読めない日も多く、
自分専用の医療用PHS電話が鳴りっぱなしの日も。

 

忙しいのは間違いないですが、
自分の提案が患者さんの生活や治療を支えていると思えるのは大きな喜びです。

 

求められるもののレベルは高いですが、それに見合っただけのやりがいは日々感じます。

 

病院で働いてみたい人は参考にしてみてください。

 

また、「病院に管理栄養士なんていたっけ?」なんて思ってる人がいたら、
これを機会にぜひ知ってもらいたいと思います。

 

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